解体する建物は祖父母が住んでいた住居部分で、
私が子供の頃に増築された建物です。(多分)
共働きの親に代わって、祖父母が親代わりでしたので、
小学校から「ただいま」っと帰っていくのはこちらのお家でした。
宿題をやったり、おやつを食べたり。
おやつはサツマイモの蒸かしたものや、ひじきの煮ものとかでしたけど(笑)
夕ご飯も、こちらのダイニングキッチンで祖父母と一緒に食べて、テレビも見て、
寝る時間に自宅に戻る。という生活。
あの頃は広々したダイニングキッチンだと思っていましたが、
案外狭かったです。
毎年、夏になると、親戚や、従妹たちが遊びに来て、
お昼に、祖母が作ったカレンジのジャムをフワフワの食パンに塗って
皆で食べるのが楽しみでした。
祖父は私の学生時代に亡くなり、
祖母はスペインに住んでいた時に亡くなりました。
連絡したって、海外からはどうせ帰ってこないだろう。と思った母は知らせてくれず、
新聞のおくやみ欄を見た私の友人が電話してくれて知りました。
90近い祖母でしたので、大往生です。
おばあちゃん、死んじゃったんだな。寂しいな。というくらいの気持ちだったのですが、
友人からの連絡を受け、そのまま職場に行って、祖母が亡くなった話をしましたら、
職場のみんなが泣きながら心配してくれて、
私もつられて泣いてしまい。
いつも怒ってばかりいる職場のオーナーが、ありとあらゆるツテを使って、
日本に帰る格安航空券を1日で手配してくれました。
(格安航空券は1か月以上前に手配しないと普通は取れなかったのですが)
そんな風に職場のみんなに大げさに見送られながら、2週間のお休みを頂いて、
「日本に帰るよ。」と国際電話をかけましたら、親戚一同が集合している最中で、
「えー!?わざわざ返ってくるの?もうお葬式終わっちゃうよー」と言われ、
従妹たちが、私も話したい!と代わる代わるに出ては「私、転職したの」などと、
呑気な近況報告をするので(笑)、
え!?そっちは、そんな感じなの?
とスペインの職場との違いに拍子抜けしました(笑)
日本から遠く離れたスペインで何十年も暮らしている人たちは
親が病気になっても帰れなかったり、看取る事が出来なかったり、
お葬式にも行けなかったり、
日本にいる家族に対しての様々思いが強いので、
私の祖母の死にも、自分の事のように深刻に受け止めて、
悲しみを共有してくれたのだと思います。
色々思い出してしまう夏。
老朽化に伴い、壊すことを以前から、計画をしていたのですが、
いざ、壊す。となると、やはり少し悲しいものです。
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